その他手術（レーザー治療）

適応疾患①：網膜裂孔、網膜格子状変性など

網膜の穴（裂孔）の周囲をレーザーで焼き固めて、それ以上網膜が剥がれないように糊付けします。裂孔の拡大や網膜剥離への進行が危惧される場合には緊急でその日のうちにレーザーをする場合もあります。レーザーは痛みを伴う場合があります。
網膜周辺へのレーザーがほとんどですのでレーザー治療で視力が落ちることはありません。

適応疾患②：糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症など

血流の途絶えた網膜をレーザー凝固し、まびく事で新生血管が生えることを予防します。視力に大事な網膜（黄斑部）への血流を保ち視力の低下を防ぎます。レーザーをおこなっても視力が改善する訳ではありません。視力低下の原因である網膜浮腫がある場合には浮腫の周辺にレーザーを行うことがあります。
レーザー治療は痛みを伴う場合があります。
レーザー後、光線の熱で網膜浮腫を起こす場合があります。網膜浮腫が起きないように治療は1～２週間毎に行います。

※網膜光凝固治療では瞳孔を大きく広げる点眼薬（散瞳薬）をさして照射が出来る状態にします。この点眼の効果により4～５時間（個人差あり）は近くが見えにくくまぶしく感じるようになりますのでご了承下さい。

適応疾患：発作が危惧される閉塞隅角緑内障

虹彩（いわゆる茶目）の部分にレーザーで穴をあけます。この穴を通して水が流れるようになるため、緑内障発作を起こす可能性はなくなります。
レーザー後にこの穴が閉塞してしまう方もいますが、その場合はもう一度レーザーを行います。
 

治療の流れ
緊急性が高ければ当日、緊急性がなければ予約を取って行います。
術前処置として瞳孔を縮める点眼（縮瞳薬）をさしてレーザーが照射できる状態にします。術前の検査・処置に1時間、レーザー治療15分、術後検査・処置で30分かかりますので、約2時間かかります。
レーザー後は半日目がかすんで見えますので車の運転は控えてください。
術後の診察が必要になります。

治療による合併症
※レーザー後虹彩の色素が隅角に詰まって眼圧が上昇することがあります
※飛び散った虹彩の色素や炎症によってかすんで見えることがあります
※角膜（黒目の表面）の内側の細胞（角膜内皮細胞）が弱いとレーザーによって角膜の機能が悪くなり、角膜が白くにごってしまう場合があります。角膜内皮細胞数が減って水泡性角膜症を発症すると透明な状態に回復することは難しく角膜移植による治療が必要になります

適応疾患：一部の緑内障の方

いろいろな点眼薬を使っても十分に眼圧が下がらない場合や、眼圧がある程度下がっていても視野障害などが進行していく場合には、眼圧をもっと下げる必要があります。
そのような場合にレーザー治療（隅角光凝固術）を行うことがあります。

遇角に存在する繊維柱帯にレーザーをすることで目詰まりを軽減し、房水の流れを正します。
レーザー自体は5分程度で痛みはほとんどありません。
一時的に眼圧があがることがありますので、レーザー後眼圧を測定してお帰りいただきます。

適応疾患：後発白内障（白内障手術後の再発）

YAGレーザーを当てて後発白内障の濁り（濁った水晶体の袋）を弾き飛ばします。レーザーは2～3分で終わる処置で痛みは全くありません。

当日の流れ
視力・眼圧を測り、散瞳薬により瞳孔を広げ、レーザーが照射できる状態にします。点眼の効果で４～5時間は見えにくく眩しくなりますので当日は車での来院は控えて下さい。レーザー照射後も特に生活や行動（運動）の制限はありません。

レーザー治療後、一時的にモヤモヤとした濁りが見えることがあります。これは、レーザーで弾き飛ばした水晶体の袋のかけらが、眼内に浮遊しているのが見えるためで時間がたつと沈み次第に気にならなくなります。
眼圧が一時的に上昇することや、まれに網膜剥離を起こす場合があります。
そのためレーザー治療後、1ヶ月後に視力・眼圧・術眼の散瞳検査を行います。後発白内障の再発はほぼ起こりません。